補助文献資料

表紙へ   スパルタ表紙へ

注.
スパルタに関連する記述のみ紹介(紹介というよりは感想文)。
各項目毎に著者名の50音順に表示。
国外の著者については国内の著者の後にアルファベット順に表示。
著者複数の場合は、最後尾に表示し、表題をキーとして配列。
著者名の次に出版年代をキーとして配列。
値段は参照した本に提示されたもで、現在の価格と異なる可能性あり。
  1. 石山脩平著 古代ギリシア教育史 日本図書センター 1978年 ¥−
     101から123頁にスパルタの教育に纏わる記述がある。教育史の本の中ではかなりよい方で、基本的にプルタルコスのリュクルゴス伝を基に、スパルタの国政と教育を解説している。旧仮名使いなのが難点だが、スパルタについて知識がなかろうと問題ない内容だ。只、無理に手に入れるほどの本ではないような気がする。基の版は1934年に出たものなので、戦前のギリシアに対する日本の史学会の思想や知識を知る上では役に立ちそうである。

  2. 伊藤貞夫著 古典期アテネの政治と社会 東京大学出版会 1982年 ¥1800
     表題にある通り、アテネの政治制度やその歴史を論じた本だが、スパルタも比較対照として、或いは古代ギリシアの社会の多様性を説明するために登場する。スパルタの成立から政治制度、社会体制など、初心者にも分かるように書かれている。44から47、51から62頁を読めば、スパルタを調べる上の基本的な知識が入手でき、228から233頁には他地域の奴隷とヘイロータイとの違いを見定める一つの基準が示されている。

  3. 伊藤政之助著 戦争史 西洋古代編 戦争史刊行会 1936年 ¥10
     340から356頁でスパルタ建国からペロポネソス同盟の概要が固まる迄が概説されている。345から349頁にプルタルコスを土台にした教育の記述がある。367から371頁にスパルタのアテナイ遠征の記述があり、373から407頁に第2次ペルシア戦争の記述があり、簡略化されて分かり易く記された各戦いと全体の地図も付いている。420から471頁にペロポネソス戦争の記述があり、これにも分かり易い地図があり、主要な戦いを集めた年表もある。473から509頁にアジアでの対ペルシア戦からボイオティア戦争に至るスパルタ絶頂期から凋落までが記されている。物語風の記述で戦争を中心に記されているので、全体を眺めるのにはよいだろう。

  4. 井上智勇著 新書西洋史2 古典古代 創元社 1955年 ¥100
     26から32頁にスパルタの記述があるが、多くはプルタルコスのリュクルゴス伝に依拠しているようで、スパルタについてのみ見るなら大した情報はない。

  5. 梅根悟著 西洋教育史 新評論 1967年 ¥4800
     55頁にスパルタの教育制度の目的があり、55から59頁にプルタルコスのリュクルゴス伝から単に引用しただけのスパルタの教育制度の解説がある。60から63頁にギリシャの教育制度に対する総括的な論評が「フュステル・ド・クーランジュ著 田辺貞之助訳 古代都市 白水社」の324から327頁を引用する形で行なわれている。他の国の教育制度との比較を行なう上では幾分役に立つかもしれないが、スパルタ教育を調べる上では殆ど役に立ちそうにない。

  6. 太田秀通著 スパルタとアテネ 岩波書店 1970年 ¥−
     80から101頁にスパルタを解説した章がある。専門用語も余り使われておらず、要となる専門用語には解説が付けられている。スパルタ教育の内容や起源と、ヘイロータイに対する対応の解説が、スパルタ解説の二本柱となっている。他には136から139頁にアテナイとの比較がある。

  7. 小沢郁郎著 世界軍事史 同成社 1986年 ¥7000
     47から49頁にギリシアの重装歩兵戦術の発展の簡単な概説があり、その中でスパルタの国政の解説もある。54から56頁にペロポネソス戦争から対テーバイ戦争の記述がある。簡潔にまとまってはいるが、原典史料や他の研究と比較すると妙に思われる記述が散見される。巻末の参考文献や原典史料を見る限り、これらの妙な記述は著者の勘違いか思いこみが原因で現れたと思われる。といっても、大半は全体の流れを妨げるような物ではないが、誤解の基になるので少々やっかいである。

  8. 桜井万里子著 古代ギリシアの女たち 中央公論社 1992年 ¥720
     アテナイの女性について解説した本だが、スパルタ女性についても比較の為の記述が幾つかある。9から40頁の間にはスパルタ女性の例が多々あり、それと他の記述を比較するとスパルタ女性が他のポリス、特にアテナイに比べて如何に自由であったかが読みとれる。

  9. 櫻井怒美著 古代ギリシアにおける女と戦争 近代文芸社 1998年 ¥−
     88から99頁にスパルタ女性についての記述がある。各種古典文献に現れるスパルタ女性の記述を集め、そこから見えてくるスパルタ女性像を紹介している。問題は史料の記述をそのまま信用しているようすなのである。分析と言うよりはまさに紹介といった感じである。

  10. 謝世輝著 古代史の潮流 原書房 1994年 ¥2800
     世界的視野で書かれた古代史の概史で、209から229頁にペロポネソス戦争を中心にした古代ギリシアの記述があり、スパルタの記述も散在している。スパルタについては特に218から219頁に記述されている。著作目的が世界規模で古代史を記述することにあり、ギリシア史を論じた本ではないので、ギリシア史の資料としては余り使えないが、他地域との比較のためなら使える。

  11. 高津春繁著 ギリシア民族と文化の成立 岩波書店 1950年 ¥330
     先史時代のギリシアの民族を主に言語から分析した書で、140から223頁でスパルタに纏わる話も出てくる。簡単に言うと、ヘラクレイダイの帰還で先住民だったアルカディア人がスパルタやメッセニア、アルゴス等の平地から山地のアルカディア地方へ追いやられたと言うところだろうか。今となっては古すぎる上に、考古学的にヘラクレイダイの帰還が外からの民族移動とは考えられないとされてしまった今、少なくてもスパルタに関しては価値を失ってしまったかもしれない。

  12. 長尾十三二著 西洋教育史 東京大学出版会 1978年 ¥−
     8から11頁にスパルタとアテナイの教育の解説があり、スパルタはプルタルコスのリュクルゴス伝を土台にして解説しているようである。スパルタの教育が現れた原因と、プラトン、クセノポンへの影響などを簡単に解説している。教育史の本としては珍しく、道徳的見地からの評価はない。只、情報量は極めて小。

  13. 仲手川良雄著 古代ギリシアにおける自由と正義 創文社 1998年 ¥−
     アテナイの自由と正義の概念を近い概念の言葉の分析を通して検討している論文で構成された論文集。全体は自由、ソロン、正義、アイナイ民主政の比較考察の4部に分けられている。自由では主にアテナイの民会で発言を求める際に使われるイセーゴリアという語の意味を検討する形でアテナイにおける自由が検討され、ソロンではソロンの詩の検討を中心にソロンの政治思想を検討し、正義では主に伝クセノポンの「アテナイ人の国制」の検討を通してアテナイの正義の概念が検討されている。最後に、アテナイの民主政についてアレイオスパゴス会議と他ポリスとの比較検討から検討している。アテナイの基本的な政治思想を詳細な史料検討から導こうとしているようだ。補論にある「最近の諸ポリス研究」がスパルタ、アテナイ以外の歴史を調べる際の資料検索のガイドとして極めて有用に見受けられる。

  14. 馬場恵二著 ペルシャ戦争 教育社 1983年 ¥−
     前5世紀にアテナイが主導し、スパルタが盟主となった対ペルシャ同盟とペルシャ帝国との戦いをアテナイを中心にして記述した概説書。当然ながらスパルタの話も幾つも出てくる。ペルシャ戦争全体の流れや背景を知るには、まずこの本にあたるのがよいと思われる。当時の情勢を語るのに当時のギリシア詩人ピンダロスやシモニデスの詩も引用されている。

  15. 馬場恵二著 ギリシア・ローマの栄光 講談社 1984年 ¥2200
     前六から前四世紀のギリシアの概史が120から174頁にあり、スパルタの行動の記述も散在している。この本の価値は記述よりも記述に合わせて多量に用意されている写真と文の組み合わせにある。137頁の1968年にスパルタ市に建てられたスパルタ王レオニダスの像が掲載されている。151頁にはタイゲトス山を背景にしたスパルタの遺跡があり、174頁にはレウクトラの古戦場跡がある。

  16. 廣川洋一著 ソクラテス以前の哲学者 講談社 1997年 ¥980
     34から41頁にスパルタの詩人アルクマンを哲学の先駆者として位置づけた論考がある。アルクマンの詩の断片の一つを宇宙生成を説明した一種の哲学的思考であるとし、この詩の解釈を展開している。基本は宇宙を限定した物とし、宇宙の生成を無秩序から秩序への移行として捉えている。もし、本当にこれがアルクマンの思想で、著者の解釈通りで、アルクマンがスパルタ人であるとした説を受け入れるなら、スパルタにも哲学者が、それもイオニアで最初のギリシア哲学が現れる50年近く前にスパルタでは哲学の原型が語られていたことになる。

  17. 藤縄謙三著 ギリシア文化の創造者たち 筑摩書房 1985年 ¥1800
     ギリシア文化に関わる4つの論文で構成されている。最初の論文はギリシアを社会は父系社会だが、根底に母系社会の神話をもつ社会と分析している。次の二つはギリシアの知識層や芸術家等の社会的地位や経済状態を多様な原典の引用を交えながら分析している。社会的にも経済的にも恵まれていた者が多いようだ。最後の論文はギリシアの森林資源の状態を分析している。主に原典の記述からの分析で、自然科学による分析は殆どない。結論としてはギリシアでは全般的に森林資源は豊かであったとなっているようだ。但し、アテナイなどの一部の地域ではペルシア戦争以降、森林資源が急速に失われて様だ。

  18. 水野忠文著 体育思想史序説 世界書院 1967年 ¥−
     27から29頁にスパルタの体育教育についての解説がある。 スパルタの体育教育は盲目的で合理的でなく、野獣のようで慈愛がないと言うことである。アリストテレスの評価に似ている。  

  19. 村川堅太郎著 オリンピア 中央公論社 1963年 ¥560
     オリッピックの起源となったオリンピアについて解説した本で、スパルタのオリンピアへの関わりも散見される。例えば、裸になって競技することを始めたのがスパルタ人とか、リュクルゴスがオリンピア創設に関わっていたとする説の紹介とか、言う具合である。ギリシア諸都市の中では、オリンピアとの関わりが大きい方に見受けられる。  

  20. 村川堅太郎著 村川堅太郎古代史論集三 岩波書店 1987年 ¥6700
     日本における西洋古代史の今はなき大御所の論文集。第二から五章に僅かながらスパルタに関する記述が散見される。どの論文も古代ギリシア・ローマ世界全体を扱っているので、部分的に読んでも意味がなさそうである。第二と三章は主に経済的な話が主で、一九世紀末に古代史学会を騒がせた古代経済史論争の解説もある。第四と五章は奴隷制に纏わる論文である。

  21. 村田数之亮著 世界の歴史4 ギリシア 河出書房 1968年 ¥580
     149から153頁にスパルタの国制と外交方針が概述されている。外交方針の変化を記述しているのはスパルタの概史としては珍しい。全体としてスパルタとアテネを対比させながら古代ギリシアの概史を綴っており、カラーの絵や発掘物などが掲載されているのでイメージを造る助けになる。読んでいてそれなりに楽しい本だ。

  22. 森本哲郎著 戦争と人間 文藝春秋 1988年 ¥1600
     7から18頁に「教育」の戦争への影響を考察する例としてスパルタが使われている。スパルタの教育体制をプルタルコスに依拠して解説し、この様な教育体制が現われた原因としてヘイロータイ等の被支配者達に対する恐怖だと論じている。現在、最も一般的なスパルタに対する理解といった感じである。

  23. 安田喜憲著 森と文明の物語 筑摩書房 1995年 ¥680
     90から100頁に前5から4世紀頃のギリシアを解説した章がある。ペロポネソス戦争の焦点をエーゲ海北岸の森林資源の争奪に見ている。他に、57から69頁にギリシアでオリーブが盛んに作られるようになった事情を森林の荒廃による土壌の流失にみる解説もある。ギリシア人森を荒廃させ、土壌を失いオリーブのような荒廃地でも育つ作物に依存するようになった。そして、新たな森林資源を求めてエーゲ海北岸やイタリアなどへ進出していったと言うところ。

  24. 弓削達著 新書西洋史2 地中海世界 講談社 1973年 ¥420
     53から58頁に建国からリュクルゴス体制成立迄の概史と国制の説明がある。

  25. 吉村忠典著 支配の天才ローマ人 三省堂 1981年 ¥1800
     110から112で、簡単なスパルタの紹介と、アギスとクレオメネスの改革についての解説がある。113から116頁に前2世紀に発生したナビス戦争の解説がある。当時のローマとスパルタのやりとりや、ギリシアの状況を簡単に概説している。それに纏わる形でローマ人とギリシア人の自由に対する感覚のズレが解説されている。スパルタがローマに対した唯一の戦争、ナビス戦争の概説として使えそうである。

  26. アイザック・アシモフ著 小山田義文訳 アシモフ選集歴史編2 ギリシア人 共立出版 1970年 ¥800
     SF作家としても有名なアシモフ氏が書いた古代から現代に至るギリシアの概史。紙面の多くは古代ギリシアに割かれており、スパルタに関する記述も多々登場する。54から66頁で前8から6世紀頃のアルカイック期のスパルタに纏わる事件が記述され、次にペルシア戦争からペロポネソス戦争に至る事件が全ギリシア規模で記述され、206から219頁にアジアでの対ペルシア戦からポイオティア戦争に至るスパルタの絶頂から凋落までがスパルタを中心に記述され、298から301頁で前3世紀頃のアギスとクレオメネスの改革と戦争が記述されている。基本的にスパルタには非好意的に記述がなされているが、感情的な表現は少なく、記述が歪められているという印象も受けなかった。

  27. アーサー・フェリル著 鈴木主税/石原正毅訳 戦争の起源 1988年 ¥2800
     142から247頁に前700から360年位までのギリシアの戦争についての考察がある。ギリシアの戦争の主流である重装歩兵による短期決戦と言う形態は山がちなギリシアの地形やこの形態の戦闘に参加する兵士に掛かる精神的負担を考えると極めて不合理な不自然な戦闘法であるとしている。ペルシア戦争の時、ギリシアに比べれば合理的な諸兵連合軍たるペルシア軍が敗れたのはペルシアのミスにより、ギリシアでもある程度それが意識されていたようだ。ペロポネソス戦争で従来の重装歩兵戦闘に変わる軽装歩兵や騎兵の活用が見られるようになり、コリントス戦争辺りになると中東へ傭兵として出稼ぎに行ったギリシア人が増加し、中東での経験を生かした戦い形が現れる。イフィクラテスの傭兵隊が代表的な例である。その最中でも、スパルタの機動戦闘、テーベの斜形陣など重装歩兵戦闘を中心に考えた戦法もピークを迎えた。ギリシア人の試行錯誤はマケドニアに継承されて完成したと言うところ。ギリシアの戦術の歴史を概観するのによい。

  28. アラン・ロイド著 木本彰子訳 カルタゴ 河出書房新社 1983年 ¥1800
     カルタゴの歴史を記した書だが、スパルタもカルタゴに関わったことがあり、その記述がこの書にある。第1次ポエニ戦争でローマ軍を打ち破り、カルタゴを救ったスパルタ人傭兵クサンティッポスとスパルタ傭兵隊の話が162から165頁にある。

  29. ヴェルナン著 吉田敦彦訳 ギリシア思想の起源 みすず書房 1970年 ¥750
     64から68頁にスパルタの国政が軍事目的に編成されたものとして論じた部分があり、95頁にスパルタの教育を「慎み」に基づいた規律の強制にあるとした論が簡単に論述される。全体的にギリシアの道徳観を論じたような本で、その中でのスパルタの位置が論じられている。

  30. H.G.ウェルズ著 長谷部文雄/阿部知二訳 世界史概観 上 岩波書店 1966年 ¥480
     SF作家として有名なウェルズの世界史で、96から108頁にギリシア人の記述が主にペルシア戦争を中心に記述されている。スパルタはこの戦争に如何に関わっていたかが記されているが、記述の多くはアテナイに偏っている。特にスパルタについての記述も感想もない。

  31. F.W.ウォールバンク著 小河陽訳 ヘレニズム世界 教文社 1988年 ¥3600
     241から248頁に前244から148年に至るヘレニズム期のスパルタの動きがリュクルゴス体制への回帰を中心にして記述されている。情報源の原典史料名や引用が豊富にあり、ヘレニズム期のスパルタを知る上で非常に助かる。

  32. エミット・A・ライス著 今村嘉雄/石井トミ訳 世界体育史 不味堂出版 1965年 ¥1200
     34から38頁にスパルタの教育について体育以外も含めた解説がある。具体的な例が多いようだが、プルタルコスを典拠としているのは明らかだ。スパルタの舞踊を取り上げている点が珍しい。

  33. エンゲルス著 戸原四郎訳 家族・私有財産・国家の起源 岩波書店 1965年 ¥−
     家族を論じた第2章の83と84頁にスパルタの家族制についての記述がある。エンゲルスの時代に流行した婚姻は集団婚、対偶婚、単婚という具合に発達するとした説に従い、スパルタは対偶婚にあったと、更に説明を加えると離婚、婚姻に余り制限のない単婚とも言うべき状態と分類されている。簡単に言うと日毎に夫や妻を変えることができる婚姻制度である。

  34. カートリッジ著 橋場弦訳 古代ギリシア人 白水社 2001年 ¥3800
     古代ギリシア人の二項対立的なものの考え方からギリシア人にとっての他者や差別意識を解説した本で、史料として主にアリストテレスとヘロトドスが使われ、ギリシア人と異民族、男と女、市民と非市民、自由人と奴隷、神と人という対立概念がキーワードとなっている。前者が優等で後者が劣等という対立概念である。欧米人に対して古代ギリシア人が異質な存在であることをアピールするために書かれた啓蒙書と言った感じが強いが、古代ギリシア人の価値観を知る上で有用であり、更にはヘロトドスやトゥキュディデス等の資料を読む際に、彼らの執筆姿勢やその思想的背景からこれら史料の偏向を読みとるのにも使えそうである。例えばヘロトドスの異民族に関する記述は史実ではなく、ギリシア人から見て奇異なことを異民族の風習として示すことで聴衆の関心を引こうとの意図がある。逆に見るとギリシア人から見て奇異なことが語られているのだから、これはギリシア人の非常識や差別意識を表した記述といえる。そこから、ギリシア人の意識を知ることができる。

  35. H.D.F.キトー著 向坂寛訳 ギリシア人 勁草社 1966年 ¥−
     ギリシア人の価値観や生活を記した本で、113から122頁にスパルタ人の生活や価値観などが解説されている。只、スパルタの国政を書き残した哲学者達の思想をそのままスパルタの国政と捉えている節があり、スパルタをギリシア的道徳感を実現した理想郷として捉えているように感じられる。他の内容は古代ギリシアの文化を説明するのに現代の事を例に持ち出したり、対比させたりしてわかり易く解説しておいる。

  36. ケネス・ドーバー著 久保正彰訳 わたしたちのギリシア人 青土社 1992年 ¥2400
     ギリシアの彫刻や絵画を中心としてギリシア文化について語った本で、著者の思い出を交えながらギリシア史についての四方山話を並べている。前半戦は最初はアテナイ、次にシラクサを中心に概史を中心に話を進め、後半は彫刻や絵画等を美術理論やそれに纏わるエピソードや思い出などを交えながら話を進めている。一貫した流れがあるわけでなく、思いつくままギリシア史を綴った随筆と言ったところ。

  37. ジョージ・トムソン著 池田薫訳 ギリシャ古代社会研究 上下 岩波書店 1954年 ¥1600
     エンゲルスの「家族・私有財産・国家の起源」 を土台にして先史時台のギリシアを論じた本で、スパルタのタラス植民を母権社会の名残と位置づけたりなど、スパルタを例に取った話も幾つか掲載されている。最も重要と思われるのは206から253頁のギリシア叙情詩の項目で、アルクマンやテルパンドロスなどのスパルタで活躍した詩人の詩が分析されている。アルクマンの詩は少女により編成された宗教的な合唱団がアルクマンの指揮で歌ったのではないかとか、背景についての解説もある。詩の分析の項目を理解するには音楽についての知識も必要だと考えられる。329から331頁にスパルタに集ったホメロス詩人達の解説がある。タレタスやアルクマン、テルパンドロス等の初期の詩人達がホメロス詩人として位置づけられている。スパルタの詩を調べる際に有用な書だ。他の部分は今となっては受け入れがたい。

  38. ジョルジュ・ミノワ著 大野朗子/菅原恵美子訳 老いの歴史 筑摩書房 1996年 ¥5700
     時代毎に老人がどのような扱いを受けてきたかを論述した本で、古代ギリシアを扱った章の88頁で、スパルタも記述されている。古代ギリシアでは老人は不遇であった中、唯一の例外がスパルタで、老人達に高い地位を与えていたという。これは60才以上の市民で構成された長老会のような組織が他のギリシアポリスになく、更にスパルタではこの長老会が国家に指導的に役割を果していたという点を評価してのことらしい。これ以外の記述はないがスパルタの特異性の一つを見せてくれるある意味では重要な記述のように思える。

  39. ジョン・キーガン著 遠藤利国訳 戦略の歴史 心交社 1997年 ¥2900
     戦争の手法について論じた本で、ギリシアについての記述も至る所にちりばめられているが、主要な部分は270から291頁に集中的に記述されている。基本的に V.D.Hanson The Western Way of War CALIFORNIA 2000年 と V.D.Hanson Warfare and Agriculture in Classical Greece CALIFORNIA 1998年 の要約と戦争の概史で構成されている。  

  40. W.W.ターン著 角田有智子/中井義明訳 ヘレニズム文明 思想社 1987年 ¥3800
     24と32頁にクレオメネス王の対外戦開始からナビス王の死迄のヘレニズム世界についての概説があり、この記述からこの時期スパルタがギリシア世界でいかに台風の目であり続けたのかが感じられる。114から115頁でクレオメネスとナビス王の改革についてヘレニズム時代に起こったギリシアの大改革の一つとして概説している。たいした情報はないが、ヘレニズム時代のスパルタの地位を知るのに使える。

  41. A.J.トインビー著 秀村欣二/清永昭次訳 ヘレニズム 紀国屋書店 1961年
     35から45頁に概史の形をとったスパルタ論が展開している。話を面白くする為なのか、感情的な言葉が多くどうも信頼性に欠ける気がする。トインビー氏は文明圏論という歴史観の基に、世界のあらゆる歴史をその論に当てはめてしまう傾向にある。スパルタはその中でも、発展の停止した文明として捉えられており、否定的な評価を下されている。故に、スパルタを説明する表現が否定的になるのもやむえないかもしれない。

  42. A.J.トインビー著 「歴史の研究」刊行会訳 歴史の研究5巻 経済往来社 1970年
     76から119頁にスパルタに関する考察がある。スパルタは発育停止文明の一つとして位置づけられ、その原因はスパルタ人に数十倍する従属民ヘイロータイとし、考察はオスマン・トルコと比較する形が取られている。 スパルタの制度を計画的、人為的なものと捉えているようだ。現在では、この説がスパルタの制度の原因論として最も一般的になっているように見受けられる。

  43. デュラント著 川口正吉/林清訳 世界の歴史4 エーゲ海の民族文化 日本ブック・クラブ 1967年 ¥−
     283から323頁にスパルタの国政に纏わる話が連ねられている。前550年以前のまだ鎖国状態になく、様々な文化を花開かせたスパルタと、第2次メッセニア戦争後にリュクルゴス体制確立後のスパルタが対比されて描かれている。スパルタの芸術家が何人か紹介されており、鎖国以前のスパルタ文化を調べる手がかりを与えてくれる。

  44. デュラント著 大内満/大月邦雄訳 世界の歴史6 ギリシア文化の斜陽 日本ブック・クラブ 1968年 ¥−
     109から114頁にペロポネソス戦争後からレウクトラの敗戦に至るスパルタの概史があり、312から316頁に前3から2世紀のアギスからナビス王の改革が概説されている。エピソード中心で読み物としてもそれなりに楽しめる。

  45. バートランド・ラッセル著 市井三郎訳 西洋哲学史1 古代哲学 みすず書房 1970年 ¥2400
     イギリスの哲学者ラッセルが記述した哲学史で、プラトンを論じている章の中にスパルタがプラトンへ与えた影響を論じている為に、101から110頁でスパルタが論じられている。基本的にプルタルコスに依拠し、アリストテレスで修正したスパルタ像が提示されている。所々にスパルタの理想像が後世に与えた影響にも触れられている。スパルタの理想像を現実的な姿へ修正する手本の一つになるのではと思われる。但し、他の古代の著作も合わせて考えると、この本の著述を受け入れるのは危険な気がする。特にスパルタの法(憲法)と書かれている部分などである。

  46. R.ハルダー著 松本仁助訳 ギリシアの文化 北斗出版 1985年 ¥2500
     ギリシア人の価値観と文化活動を論じており、スパルタも本文中に散在している。特に、テュルタイオスに纏わる記述が幾つか目に付いた。スパルタ人も含むギリシア人に共通すると思われる価値観を知る上で役に立ちそうである。まとまった記述としては222から227頁にスパルタの国政についての評論がある。簡単に言って、スパルタは内部にヘイロータイという大きな驚異を抱えていた為に文化的発展を阻害されたということである。

  47. A.R.バーン著 衣笠茂訳 戦うギリシア国家 創元社 1970年 ¥1200
     図版が多数あり読み易い本である。40,46,69,70,71,89,90頁にスパルタの工芸品の写真が掲載されている。殆どは兵士をモチーフにした作品ばかりだが、71頁の少女をモチーフにした工芸品は興味深い。文献史料からもスパルタ女性が半裸或いは全裸で生活していたという記述が見いだせる。実際はこの象にある通り半裸に近い薄着といった程度だったのだろう。そして、男性と一緒に体育や合唱などをしていたという。だが、アテナイの著述家の間ではスパルタ女性の評判は芳しくない。アテナイの女性は、殆どの時間を家の奥で暮らし、外に出る時は体の線が見えないような服を着てベールを羽織ったという、ましてや運動だの肌を屋外で曝すなど以ての外という考えが強かったようだ。それ故にスパルタの女性が随分放埒に見えたのだろう。91頁にペルシャ戦争時、スパルタ王レオニダス麾下の三百人のスパルタ兵が全滅したテルモピュライの峡谷の写真がある。両側が切り立った断崖で、ここを大軍で通過するのは困難に見える。隣の90頁にはスパルタ兵をモチーフにした彫刻があり、この当時の戦いを想像する助けになる。この本の記述では66から72頁に生活を中心にしたスパルタの紹介がある。大半はプルタルコスのリュクルゴス伝を基にした感じで、大した情報はない。

  48. フィリップ・ファンデンベルク著 平井吉夫訳 神託 河出書房新社 1982年 ¥2800
     神託所についての物語風の解説書で、デルポイはもとより、ドドナ、ディデュマ、クラロス、オリュンピア等のギリシア各地の神託所について発掘史やエビソードを著者の旅行記を交えながら解説している。その中で、やはりデルポイの記述が最も多く、1/3はデルポイに関する部分で、特にリュディア王の話やサラミスの戦いの話など有名な話については個別に章を設けて解説している。最後にエピローグ的にローマの神託所やケルトやスキタイの占いについての解説がある。全体としてギリシア神託所発掘物語と言った感じに見える。

  49. W.G.フォレスト著 太田秀通訳 ギリシャ民主政治の出現 平凡社 1971年 ¥600
     142から166頁に、前七世紀頃のスパルタの国政の変化を論じた章がある。主にスパルタの国政やその起源、変革過程などを分析している。同時に解明困難、或いは不能な疑問点も提出している。前七世紀頃のスパルタの変化を把握できる。

  50. フュステル・ド・クーランジュ著 田辺貞之助訳 古代都市 白水社 1995年 ¥6800
     宗教と言う視点から古代ギリシャ・ローマ都市を概観し、変化を革命として捉え都市の発展を論じた本で、アテネとローマを主としてスパルタは論を補強する例として時々表れるに過ぎないが、各都市に共通して見られる現象を論じている本なので、ここで述べられている事はスパルタにも適用できる。この本の原文は19世紀のものだが、比較的最近の研究論文等でも参考文献としてちょくちょく使われているし、古代都市研究の基本文献としてよく挙げられるので現代にも通用する書らしい。それに、私も古代の政治が宗教と密着していたという点は間違いないと思う。当時の哲学の著作を読むと、科学と宗教がゴチャゴチャになっていると言う印象が付き纏うのも、社会が宗教と密着している為なのだろう。そもそも、宗教を他の科学的思考と分けて考えるという思想は比較的最近現れたのだそうだ。

  51. ヘーゲル著 長谷川宏訳 歴史哲学講義 下 岩波書店 1994年 ¥650
     近代歴史学の基礎を築いた19世紀初頭のドイツの歴史家の大御所の一人、ヘーゲルの講義録。スパルタの国政についても語られている。基本的に国政の概略はプルタルコスに依拠し、評価は当時の啓蒙主義的道徳観念により下されている。スパルタは精神の発達がなく、滅亡過程も道徳の堕落によると、極めて否定的かつ観念的に説明される。ヘーゲルは歴史を精神の発達として捉え、発達の程度の指標を個人の自由としている為に、スパルタの共同体重視の考え方が極めて原始的に写ったのだろう。

  52. ヘーゲル著 武市健人訳 歴史哲学 中 岩波書店 1971年 ¥500
     近代歴史学の基礎を築いた19世紀初頭のドイツの歴史家の大御所の一人、ヘーゲルの代表作で、157から182頁のペルシア戦争からペロポネソス戦争に至るギリシアの解説のところでスパルタの解説が散見される。但し、この本は歴史を論じた書ではなく、ヘーゲルの言うところの歴史を動かす精神を論じた書なので歴史的事件より、精神の説明の方が主となっている。スパルタの精神は167から178頁で解説されており、アテナイと比較する形で、アテナイが主に個人の自由から現れた美徳があり、スパルタは個人の自由より国家重視の固定した価値観しかないと言うことで、スパルタの没落過程は醜く、アテナイの没落過程は美しいと言うような感じである。19世紀は個人の自由が叫ばれた啓蒙の時代だという点を考えると、この様な見解が現れるのは自然なことのように考えられる。19世紀のスパルタ感を知るのに使えるが、それだけのように見える。

  53. マックス・ヴェーバー著 渡辺金一/弓削達訳 古代社会経済史 東洋経済新報社 1959年 ¥1300
     古代全般の経済について論じた書で、スパルタについても論じているが、スパルタは特殊な例として掲げられている。206から115頁にスパルタや、アルゴス、クレタ等のドーリス系国家を一種の封建制国家として位置づけて論じた章がある。ここで、ヴェーバーがいう封建制とは、中世で言うなら封建領主や騎士、スパルタならスパルタ市民など、戦士階級の搾取者と、農奴やヘイロータイ等、生産者階級として被搾取者の関係により成り立つ経済体制を指している。封建制の考え方で言えば、広義の封建制と呼ばれている制度である。但し、現在この定義で封建制を語ることは少なくなり、ヘイロータイを農奴と定義することにも多くの異論が出されており、今となってはヴェーバーの考えをそのまま受け入れられる状況にはないが、古代経済を総合的に論じた本として今でも十分に使える部分も多々ある。

  54. マックス・ヴェーバー著 世良晃志郎訳 都市の類型学 創文社 1964年 ¥1500
     古代から中世の都市の形態について類型的に論じた本で、スパルタの記述も各所にちりばめられている。基本的にスパルタは特殊な例として論じられている。例えば、都市の多くが城壁を持つが、スパルタは軍営とも言うべき都市なので城壁を持たなかったとか、王制を持つ都市として数少ない例とか、スパルタほど徹底的な半共産主義を発達させたドーリス人都市はないとか、言う具合である。まとまった記述としては、227から229頁のエポロスの分析、315から316頁のスパルタの軍制と割り当て地に纏わる分析がある。只、古い上に分析対象が広範に及んでいる為に、最近の説と比べると妙に感じる点も多々あるが、スパルタの特異性を知る上では、それなりに参考になる。

  55. モーゼス・I・フィンレー著 山形和美訳 古代ギリシャ人 法政大学出版局 1989年 ¥2400
     78と79にペロポネソス同盟の、101から107頁にはスパルタの解説がある。スパルタの衰亡に焦点を合わせているように見受けられるが、有用な情報があるとは思えない。

  56. モーリス・バウラ著 村川堅太郎監 ライフ人間世界史1 古代ギリシャ タイム・ライフ・ブックス 1973年 ¥−
     117から124頁にペロポネソス戦争の章があるが、アテナイが主となっておりスパルタは非好意的に記述されている。この本の見所は、文章ではなく全体に鏤められた写真と図である。スパルタ人が子捨てに使ったと言われている場所の写真、ギリシャ兵をモチーフにした絵や彫像、軍船の絵とかそれなりに面白いものが並んでいる。

  57. リデル・ハート著 森沢亀鶴訳 戦略論 原書房 1986年 ¥2800
     11から17頁にスパルタが関係した戦い、ペロポネソス戦争、ボイオティア戦争についての検討が行われている。軍事研究家が見たスパルタの戦いと言うことで、アテネのペリクレスの取った不戦戦略、ブラシダスの経済流通ラインへの攻撃、リュサンデルとエパミノンダスの敵主力の誘致戦略等の戦略面への検討が行われている。エパミノンダスについては、戦場での戦闘法の一つ「斜形陣」も検討される。只、残念なのは人名表記が他のギリシア史文献とは大幅に異なる点である。例えば、リュサンデルをライサンダー、シラクサをシラキュース等々と英語表記をそのまま使っており、誤解を招く恐れが大きい。

  58. リチャード・J・A・タルバート著 小田謙爾訳 ギリシア・ローマ歴史地図 原書房 1996年 ¥12000
     古代ギリシア・ローマの地図集でスパルタに関する地図も幾つか掲載されている。ギリシアに関して大半は東地中海全体の地図である。それ以外でスパルタに関わる地図は24と25頁にペルシア戦争の主要な戦いの選球図を記した地図があり、27頁にスパルタ市の地図があり、ペロポネソス戦争関係で、シュラクサイ攻防戦の地図が39頁に、ピュロスの戦いの地図が49頁にあり、59頁にスパルタ帝国最後を飾るレウクトラの戦いの戦況図がある。それぞれの図には解説もあり、個別の出来事を知るのにそれなりに使える。

  59. ロバート・モアコット著 青木桃子訳 古代ギリシア 河出書房新社 1998年 ¥2000
     地図と解説で構成された歴史地図集みたいな本である。スパルタに関しては、74と75頁に第二次ペルシア戦争の解説とギリシア全域の戦況図があり、78と79頁で市街地図と前8から6世紀にかけてスパルタが行なった戦いをペロポネソス半島全体を網羅する地図で解説していて、94から99頁にはペロポネソス戦争からボイオティア戦争に至る解説と全体の戦況図とシチリア戦域の地図が掲載されている。

  60. ヤーコプ・ブルクハルト著 新井靖一訳 ギリシア文化史 1  筑摩書房 1991年  ¥6900
     133から200頁にスパルタの支配体制、芸術に対する姿勢、政治体制、外交等々、広くスパルタの状態が記されている。時間を追っての変化や、衰退の道程などもある。全般的に非好意的で、時には感情的にすら見える記述が続く。殆どの記述が他の研究者ではなく、原典を参照したものものであり、それが全て注記されているので、原典のどこに、どの様なスパルタ像が記されているのかが解る。そういう意味でならこの本は使えるが、スパルタの研究書としては使えそうにない。

  61. 渡辺晶/木下法也/江頭恭二編 教育演習双書9西洋教育史 学文社 1972年 ¥1000
     1から6頁にプルタルコスのリュクルゴス伝を基にして、スパルタの教育を概説し、最後にスパルタ教育は軍国主義の見本と結論し、スパルタを非好意的に扱っている。他地域との比較という意味でしか使えそうにない。

  62. 弓削達/伊藤貞夫編 ギリシアとローマ 河出書房新社 1988年 ¥−
     基本的にローマとアテナイを比較した書なので、スパルタは殆ど現れてこない。まとまった記述としては、167から171頁にヘイロータイの記述がある。内容はヘイロータイの研究状況と起源や状態の簡単な説明である。

     
  63. 周藤芳幸/村田奈々子著 ギリシアを知る辞典 東京堂出版 2000年 ¥2800
     ギリシアについて、気候、地理、歴史、考古学情報、ギリシア語など様々なテーマについて解説した本で、歴史については有史以前からヘレニズム期と18から20世紀に至る範囲がある。現代と古代ギリシアを繋ぐような本で、写真や絵が多数掲載されている。スパルタについては53から54に解説があり、現在のラコニア平原の写真もある。61頁にはレオニダス王をモチーフにした第二次世界大戦時のポスターがある。

  64. 田中政男/大野真一/松原正道/岩井宜俊著 史料西洋史 大学教育社 1982年 ¥2500
     12頁にスパルタの簡単な紹介があり、13頁にプルタルコスのリュクルゴス伝の、14から15頁に「W.G.フォレスト著 丹籐浩二訳 スパルタ史 渓水社 1990年」の紹介がある。16頁にこの時代に纏わる各種史料のリストがある。資料を探す為の本として使える。

  65. 東岸克好編 西洋教育史 玉川大学出版部 1986年 ¥2400
     14から18頁にスパルタ教育の概要が記述されている。明らかにプルタルコスの「リュクルゴス伝」を土台としており、他の教育史の本と異なる点は、体育とそれ以外という形で具体的な教育内容がまとめられているくらいで、さしたる情報もない。

  66. 伊藤貞夫/木村凌二編 西洋古代史研究入門 東京大学出版会 1997年 ¥3800
     スパルタに限らず、古代ギリシャ・ローマを調べる上で土台となる本。現在の研究状況が簡単にまとめられており、それに伴う参考文献リストは重要な書を見定める上で大いに助けとなる。古代ギリシャについてはアテナイが主になっており、スパルタ関連では、スパルタの国政があり、ギリシャ社会全体の政治情況を概説した、38から45頁に色々ある。参考文献はこれらの頁で指示されている。

  67. 金沢誠編 西洋史物語1ソロモンの栄華 河出書房 1958年 ¥290
     88から125頁にペルシア戦争からペロポネソス戦争に至る歴史が個人的なエピソードを中心にして物語風に記述されている。省略された部分が非常に多く、概史としては使えないが、物語としてはそれなりに分かり易くてよいかもしれない。

  68. 大類伸監 世界の戦史2ダリウスとアレクサンダー大王 人物往来社 1966年 ¥490
     106から173頁にスパルタも参加した第2次ペルシア戦争が、189から249頁にペロポネソス戦争、250から255頁に戦後の混乱と対テーベ戦争の記述がある。スパルタが活動した時期の戦史を分かり易くまとめており、記述に合わせた地図や写真が更に内容の理解を助けてくれる。193頁にスパルタの国政の簡単な紹介がある。

  69. 秀村欣二/伊藤貞夫著 世界の歴史2ギリシアとヘレニズム 講談社 1976年 ¥−
     139から153頁に建国から前6世紀にかけてのスパルタの国政の変化を、主に前6世紀を中心にして概説している。187から260頁にアテナイを中心にしたペルシア戦争からローマによるギリシア支配に至る、前5から後2世紀に至る歴史が概述されており、スパルタに関する記述も散見できる。簡単な概史といった程度である。

  70. 貝塚茂樹/村川堅太郎/池島信平監 世界の歴史2ギリシャとローマ 中央公論社 1961年 ¥450
     46から48頁にスパルタの国政の簡単な解説があり、65から69頁に生活についての紹介がある。80から86頁にペルシア戦争の、106から125頁にペロポネソス戦争の、132から138頁にコリントス戦争の記述がある。記述は簡単でわかり易く、専門用語も余り使われていない。

  71. 桜井万里子/木村凌二著 世界の歴史5ギリシャとローマ 中央公論社 1997年 ¥2524
     92頁から108頁に様々な原典(主にプルタルコス)から読み取れるスパルタの国政や社会、リュクルゴス体制成立迄の簡単な歴史が紹介されている。127から140頁にペルシャ戦争の記述があり、159から162頁にペロポネソス戦争の紹介もある。後は、コリントス戦争、アギスとクレオメネスの改革と僅かづつ記述がある。

  72. 安田喜憲編 環境考古学ハンドブック 朝倉出版 2004年
     605から613頁に中井義明先生が書いたギリシアの環境考古学に関する比較的新しい学説紹介がある。これまでギリシアは古代は豊であったが長年に渡る森林伐採やそれに伴う土壌流出により、土壌が極めて貧しくなったと考えられてきた。しかし、近年の環境考古学の成果によりこの説に疑問が投げかけられるようになった。土壌流出はそれほど大きくなく、森林の破壊もこれまで言われてきたほどに酷いものではなかったという。古代からの森林の幾らかは現代に至るまで残っているし、土壌の変化も大きくない。この解説では結論として自然景観という点では古代も現代もそれほど大きな変化はなかったとしている。スパルタも含めてギリシアの自然を考える一つの指標になるかもしれない。

  73. 金沢勝夫/下山田祐彦著 幼児教育の思想−−ギリシャからポルノウまで 川島書店 1974年 ¥−
     15から17頁にスパルタの教育の解説がある。スパルタ教育を独立心が強い子供の教育にあると見ている。内容からするとプルタルコスを唯一の典拠としているようだ。  

  74. J.カッセリ監 古賀浩訳 古代の遺跡シリーズ 古代ギリシア 1996年 ¥1900
     小中学生でも理解できるのではと思われる簡単な文とイラストにより古代ギリシア世界を堪能できる。スパルタについても国政と教育について頁が割かれている。発掘物や文だけではイメージが掴み難い事柄をイラストにして示しているのでスパルタ世界のイメージを作るのに大いに助けとなる。だが、この本のイラストではスパルタ人がむやみやたらと柄物の服を着ているのだが、私には茶か灰色の小汚い服のイメージがあるので、どうにも違和感がつきまとう。

  75. ジョナサン・ウィリアムズ編 湯浅赳男訳 お金の歴史全書 東洋書林 1998年 ¥3800
     コインの歴史を概説した本で、34から51頁にギリシアについての解説がある。ギリシアのコインの主流は銀貨だが、以前はエレクトロン(銀と金の合金)も使われていた。コインは前6世紀から5世紀にかけて急速に広がっていったらしい。前4世紀には低額貨幣として青銅貨も作られるようになった。コインの写真も多数掲載されている簡単な貨幣概史。

  76. ロイド・ジョーン編 三浦一郎訳 ギリシア人 1981年 ¥3300
     52から54頁にスパルタの国政の、55から56頁にペロポネソス同盟の、58から60頁にスパルタとペルシアの関係の簡単な説明がある。これらは概説的で知識をまとめる手助けとしてなら使える。77から95頁にスパルタとアテナイを比較する形で両者の国政の解説がなされている。スパルタの国政はプルタルコスを基に構成したように見受けられる。スパルタ評はアリストテレスによっている。スパルタ批判とアテナイ擁護論を中心としており、情報的にはそれほど目新しい物はない。

  77. V.D.Hanson著 Warfare and Agriculture in Classical Greece CALIFORNIA 1998年 (英語)
     ギリシアの戦いで盛んに行われた農地破壊を分析した本で、畑、オリーブやブドウの木、農家、農場施設などの破壊方法が具体的に分析が行われている。しかし、当時の装備ではこれらのものを完全に破壊することは出来ないし、それほど広範囲に渡って被害を与えることも困難なようだ。破壊方法で最も一般的なのは火を使う方法だったらしい。従来の説では農地破壊は経済的に大きな損害を与えると考えられていたが、実際にはそれほど大きな損害にはならなかったようだ。なぜなら、破壊できる範囲がそれほど大きくなく、木などは切り倒した程度なら数年程度で再建が可能だからだ。農地の防衛には要塞、部隊の出動くらいで、特に農民は農地を破壊されることを極度に嫌うところからたいていは敵が農地を攻撃に来ると主力部隊が出てくるようだ。最後にペロポネソス戦争時のアッティカに加えられた損害が分析される。農地そのものに対する損害はそれほど大きくなかったようだ。戦争による農地の被害や攻撃方法を知るのに最良の本である。

  78. V.D.Hanson著 The Western Way of War CALIFORNIA 2000年 (英語)
     ギリシアの戦いの戦場状態を分析した本で、主に戦場での情景や兵士達の見た光景、精神状態などが分析される。最初に現代の戦争からみたギリシアの戦いが解説される。ギリシアの戦いは戦術も戦略もない農村社会の戦争であると言ったところ。例えば、戦いに参加した老人の状態、戦闘前の飲酒の影響などがある。戦闘の情景は段階毎に解説されている。戦闘開始と同時に行われる駆け足突撃、そして両陣の衝突、どちらかの軍に陣形の亀裂が生じ、全面崩壊、戦闘後の戦場、兵士達のケガと進んでいる。例えば、部隊は近郷の者達で編成されており、互いに顔見知りが多かったとか、最前列にいる兵士に掛かる精神的負担と後方にいる兵士の前戦把握の困難さ、実際に体同士が激突する衝突の激しさなどが具体的に史料を使って解説されている。戦場の状態を調べるのに非常に有用な本である。

  79. J.D.Montagu著 Battale of The Greek & Roman Worlds GREENHILL BOOKS 2000年 (英語)
     専門家が書いた本ではなく軍事関係を趣味としている人が書いた本のようだ。ギリシアとローマ期の会戦を解説した本で、年代順に主要な会戦から比較的小規模な会戦に至るまで紹介されている。地図や年表類もそれなりに整備されてあり、各会戦を記録した史料類も明記されている。解説は史料から著者が構築した像が描かれる形となっており、従来の研究を踏襲して作り上げたという感じではない。ギリシア・ローマ世界の会戦の史料や地図を検索するのに使える辞書と言った感じである。

  80. J.S.Morrison/J.F.Coates/N.B.Rankov著 The Athenian Trireme 2nd.ed CAMBRIDGE 2000年 (英語)
     ギリシアの三段櫂船再現の為に三段櫂船を分析した本で、最初に様々な考古資料、壺絵や彫刻に見える三段櫂船が紹介されている。次に、主にペロポネソス戦争の海戦の流れを追いかけながら三段櫂船の構造や船種などが分析されている。最後に三段櫂船を設計するための分析や実際に再現された三段櫂船から得られたデータなどの分析が行われている。再現された三段櫂船は前四世紀頃のアテナイの船で、オールの他に左右二つの舵と二本のマストを備えている。ギリシアの三段櫂船の具体的な構造や機能を知るのに極めて有用な本で、ギリシアで行われた海戦を知る上でも有用ある。

表紙へ   スパルタ表紙へ

inserted by FC2 system